誰もが希望をもてる社会をめざして「KHJ全国大会in山形」レポート


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小さな成功体験をつみかさねる

2つめの基調講演は、KHJ理事であり、徳島大学大学院総合科学研究部准教授、宮崎県出身の境泉洋氏による「地域におけるひきこもり支援」

講演はひきこもりの歴史に始まり、親の会、認知行動療法などを取り入れた支援から、ひきこもり支援のガイドブック紹介の流れで、全体に実践のための手段といった印象を受けた。

こちらもいくつかのポイントをあげる。

 

・親の会が把握している当事者の平均年齢は、2013年から2016年まで33.1歳~32.7歳で推移している。これ以上年齢が上がらないのは親の高齢化などによって親の会に来られなくなってしまうせいではないか。

・ネガティブな感情から抜け出しポジティブな感情を育てるために、小さな成功体験をつみかさね徐々に行動できるようにしてゆく。

・行動できるようになったら、社会スキル訓練を実施するプログラム「若者はばたけプログラム」(高知県教育委員会生涯学習課HPより)を使い社会復帰を目指す。

・好きな事や興味を見つけるために、やる気向上プログラム「わくわくワーク」を利用し、自分にとって大事な「わくわくポイント」を見つけてゆく。

 

わくわくポイントとは、自分にとってとても重要なこと、自分のために大切にしたいと思えることなどだ。

わくわくワークでは、抽象的でも良いのでわくわくポイントを自由に書き、共通点を考え、具体的なことが出てきたらなぜ大事なのかを考えることで見つけてゆくのが良い。

当事者の「どうしていいかわからない状態」からわくわくワークでやりたい事を洗い出し、若者はばたけプログラムで具体的な就労や行動に組み立てていくのだろうか。

筆者の感想としては、専門家側からの押しつけではなく、当事者それぞれが自分にあうようアレンジして使うのであれば、優秀な手段のひとつになると感じた。

自分が悩んでいるときにワークを知っていたら、どれだけ助かったかと思う。

ただ、まわりにいる何人かのひきこもり経験者に聞いてみたが、「専門家にはわからないこともあるよね」とあまり共感できない様子だった。