誰もが希望をもてる社会をめざして
基調講演に続き、パネルディスカッション「それぞれの現場から考える」が開催された。当事者、家族、ジャーナリスト、公的機関、それぞれの立場の方々による意見交換だ。コーディネーターはKHJ監事の牟田武生氏だった。いくつかポイントをあげる。
・回復のプロセスは、自分探しをするよりも、経験を重ねることにより、自分が自分らしくたくましくなること。
・何があっても親子で人生楽しむことを実践する。使えるものは何でも使おう、楽できるならいいじゃないか。
・当事者ファースト。当事者を第一に考える。
・「○○しかできない」ではなく「○○ならできる」シカからナラへ。
立場の違う各パネラーによる意見は貴重だ。とくに当事者と親の方の意見が同じ場で聞けたことで話につながりが生まれ、こちらも思わず感傷的になる場面もあった。
ひとつ物足りなさがあるとすれば、お互いの見えている範囲が違うため報告しっぱなしに感じる部分もあり、解決策の模索まで踏み込めなかったことだ。
しかし、当事者、親、支援者、それぞれ立場は違うが、目指すところは同じ「誰もが希望をもてる社会」だと感じた。
講演が終わったころには、ステージの上から会場へと広がる、一致団結していく意志が感じられた。
開催地域にプラスをもたらすための働きかけ
都内の当事者向けイベントに十数回出たことのある筆者だが、それらのイベントと比べて日立ったのが司会のかたのパフォーマンスだ。
場面転換のたびに米沢の名産品を宣伝し、協賛への配慮も忘れない。
温泉があり、米沢のABCなどおいしい名物もあり(りんご、牛肉、鯉)、開催まで1年かけてきた地域の気さくで疎外感を感じさせない人たち。
ひきこもりへの理解を求めるばかりでなく、理解者を増やすには開催地域にプラスをもたらすための働きかけも大切であると感じた。
次回2017年度のKHJ全国大会は東京での開催となる。
「誰もが希望をもてる社会をめざして」というテーマが次回開催までに少しでも実現していることを願う。
(文・たけ)