この人に注目!「当事者として必要な場所を作る」割田大悟氏


ひきこもりピアサポーターとして活動する割田大悟さん。ピアサポートとは「当事者、経験者同士で支え合うこと」を指す。
割田さんは居場所や学習会の運営、家族・支援者等に対し理解を深める活動をされている。多様な活動をされる中で何を感じたのか。お話をうかがった。

【プロフィール】
割田大悟(わりた・だいご)
神奈川県在住。20代後半。小学校時代にいじめを経験。漠然とした生きづらさが続き、大学在学中に精神疾患を発病。短期間のひきこもり状態を繰り返す。その後、福祉系大学へ編入し、ひきこもりについて学ぶ。
現在はピアサポートの普及啓発に注力。『ひきこもり当事者グループ「ひき桜」in 横浜』、当事者向け学習会『ひきこもりピアサポートゼミナール』、ブログ『ひきこもりピアサポート日記』を運営。ほか多方面で活動。

──割田さんのひきこもり経験を聞かせて下さい

22歳のときに心身不調が顕著となり冬場にひきこもり状態になりました。その後病気が悪化する毎年冬場を中心にひきこもり状態になっていました。
自分が抱える躁うつ病は体調管理が難しく、今も鬱になりやすい秋~冬は苦手です。

──当事者団体活動をしようと思った動機はなんでしょうか。精力的に活動を続ける信念をお聞かせ下さい。

自分は居場所に参加することで元気になっていきました。特に誰にも批判されず、どう過ごすのも自由な場所が好きでした。そういう居場所が地元にもあればいいなと。
ある時から親の会経由で知り合った仲間と喫茶店に集まるようになりました。そして初めて仲間と会ってから10ヵ月後に「ひき桜」を立ち上げました。
そこから本格的な活動が始まりました。現在でも当事者団体による居場所は圧倒的に少ないですし、ピアサポートは殆ど普及していません。であれば自分たちで創れないかという考えが強くあります。
「無いものは新しく創る」という信念が自分をここまで動かしていると思います。

──ひき桜とはどういったイベントなのでしょうか?

「ひき桜」は二〇一五年6月に立ち上げ、現在は毎回25名~30名が参加されています。
女子会・卓球・ゲームなどがあり、各々が自由に参加しています。やっぱり居場所を必要としている人は多いと実感しています。
運営に関しては色々考えさせられました。特に「自分たちができるのならばやりたい、でも自分たちはノウハウがないからできない」そういったジレンマによく悩まされました。
「ひき桜」の立ち上げメンバーは幸いにも4名いましたが、自分も含めて体調が悪かったり、それぞれ予定が入っていたりなど、開催できるか不安な時もありました。なので「ひき桜」をどう開催するのかについても議論になりました。でもこういうきちんとした話し合いをしたから今があると思います。

──ひき桜で気をつけていることはなんですか?

共通認識として「ゆるさ」を大事にしていること。そして「運営メンバーは支援者ではなく参加者の一人だ」という姿勢を明確にしていることです。
自分たちが支援者になれば、それは既存の支援機関とあまり変わらない。当事者団体だから出来ることがたくさんあるので、その良さは失わないよう気をつけています。
あとアイディアは積極的に取り入れます。なぜなら各々がやりたいことを「ひき桜」で実現すれば良いからです。
ちなみに女子会・卓球・ゲームなどは全部自分たちがやりたいと思って企画したものです。

こちらの記事は1月号に収録されています。ご購入はこちらをクリック
更新情報が届き便利ですので、ぜひフォローしてみて下さい!
Twitter
Facebookページ
次へ≫