「監禁・暴力…完全に無法地帯だった」被害者Dさんの発言 引き出し業者被害 記者会見【全文】


2017年5月22日 開催
記者会見
「ひきこもり自立支援を謳う団体による被害実態について」

2017年5月22日 開催 記者会見「ひきこもり自立支援を謳う団体による被害実態について」(全記事リンク)

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車に連れ込まれ、暴力を振るわれた

被害者Dさん:私は岐阜県にある「自称・更生施設」に1年半以上いました。そこであった事を、今回お話させていただきたいと思います。
ただこの話について、理解や共感という物は得られる物ではないと思っております。あそこでの出来事は、とても少し口で説明したところで伝わるはずが無いからです。

私は施設の生活の中で、いつも疑問に感じていました。本当にこれが正しいことなのか。何が正しくて何が悪いのか。それがあそこで歪められてしまった。だからそれを明らかにしたい。それを、私の話を聞いていただいた皆さんにも判断していただきたいのです。

まず私が施設に行ったのは、もちろん自分から行ったわけでは無く、親が頼んだ結果、無理やり連れて行かれました。車に押し込まれて、車内で暴力を振るわれました。

本人がどこかで一人暮らしをしていたり、定職に就いていたとしても、依頼人の言葉だけを優先し、どんな人間でもさらって閉じ込めてしまっていたので、更生施設と言うよりは人さらい屋と言っても良いかも知れません。学校に在学中だったのに連れて来られて、休学、退学になってしまった人などもいました。

鉄格子やセンサーで軟禁状態に

連れて来られてからは逃げられないよう、身分証、財布、携帯などは、全て取り上げられました。そして驚いたことに、入れられた部屋には鉄格子やセンサーがあり、自由に外に出られない状況でした。あの施設全体に、連れて来られた人間を逃さないようにセンサーがある事も、後で分かりました。

飛び降りて足を壊してしまった人も

そして、あそこでやっていた事は、ホームページに書いてある内容はすべて嘘であり、実際には、ただ時間を潰すだけの毎日を過ごしていました。
例えば草むしりなど、繰り返しても意味のない行為です。これらは全て日本的に、狭い敷地の中だけで完結していて、普段はあそこから出ることは出来ません。ある意味、一般に言うひきこもりよりもひきこもりだったと思います。特に何の娯楽もなく軟禁され続ける日々は、非常に辛い物でした。

それに耐えかねて、もちろん逃げ出す人もいました。しかし捕まると髪を刈られて、1、2ヶ月ぐらい部屋に閉じ込められるのです。累計で半年以上部屋にいる人や、職員からリンチされていた人もいました。

他にも、刑務所に行った方がマシではないかと考えてしまう人や、飛び降りて足を壊してしまった人もいました。これらの行為に対しても、施設運営者が警察OBだからか分かりませんが、ほとんど警察は私たちを相手にしませんでした。

家畜のように扱われた

では、この施設を運営している職員はどういう人間なのか、それを説明します。まず私のいた施設は、もともと別の名前で運営されていたのですが、現在は創始者が逮捕されてしまった事で、名称が変わったようです。今は警備会社を運営する人間が管理しています。

職員については、何か専門的知識があるわけでも無く、役に立つような カリキュラムといった物も行われていませんでした。
職員も根本的に何かしようなどと考えていなくて、行われている内容について聞いても、ただ「嫌なら早く出て行け」と言うばかり。

親には一応、手紙という形で連絡できるのですが、手紙の内容については制限されており、実情を親は知らなかったのかも知れません。部屋への監禁や直接の暴力は当たり前で、完全に無法地帯と言って良い状況でした。扱いは囚人どころか家畜、そう言っても良いぐらいでした。

他にも職員からの性暴力もあり、未成年の男女を中心に被害がありました。それは生徒の服を脱がせて、下半身を露出させて触り、その様子をカメラに収めるという事なのです。職員や生徒一同は、この事を知ることになったのですが、結果的にその職員は処分されるわけでも無く、そのまま勤務し続けています。

心に傷を負い、無駄に空白期間を増やしただけだった

日本は法治国家にも関わらず、これらの行為が容認されて来た。こういったことで、私の善悪の価値観が歪められてしまったのです。
個人の環境、性格、能力、そういった物を無視して一律に枠にはめようとする、そういう無茶な考えが潜んでいるのが良く分かります。一人一人に合ったやり方を探す必要があると、私は思います。暴力で言うことを聞かせようとするのは、教育でも医学でも無い。「相手のためを思って」そういう自己満足の、免罪符の言葉で自分を納得させ、どんな行為も正当化しているだけです。

押し付けた善意というのは、悪意と何ら変わりがありません。「自分は親として何かをした。自分はいい親だ」そういう思い込み、自己満足に付き合っただけと言っても良い。
結果的に、何一つ残っていないというのが実情なのです。あそこでしたこと全ては、ただ何か成し遂げた気になるだけで、形に残る何かが、少しでもあったわけでは無いのです。

何かスキルが身についたわけでも無く、学歴や職歴になったわけでも無い。私の親や他の親が、どういう心持ちで、そういう決断をしたのか分かりませんが、結果的に私は心に傷を負い、誰も信用できなくなり、無駄に空白期間を増やしただけです。
社会復帰どころか、その逆という事になっています。私以外の人間も、みな同様に、あそこでの時間は無為な物だったと口を揃えて言うでしょう。

家族からの懲罰?

最もここまでは、これらの行為を善意の上に基づく物と規定して話して来ましたが、それも疑問です。というのも、ホームページ上に書いてある、施設に鉄格子やセンサーがある様子を見て、普通の人間ならば、ここは異常な場所だと一目で分かるはずなのです。

そして何かの役に立つなんてあるわけ無いという事。精神的におかしくなってしまい、飛び降りて足を怪我してしまった人や、他にも50歳ぐらいの年齢で、一度、施設を卒業した形で出たのに、もう一度来てしまった人、他にも沢山のケースがありますが、彼らのことを考えると、良くなって欲しいという考えから来るより、どちらかと言うと懲罰的意味合いの方が強いのではと、私は思います。
ほとんどの人の親は、居る期間、特に見に来るわけでもありませんでした。これらを考えると、単純にその人間を処分して欲しかっただけなのかも知れません。

誓約書を書かされ、脅される

私以外にも、全国にこういう被害に遭った方はいると思います。ですが施設から出る時や、入った時に誓約書を書かされて脅されているのでしょう。私のいた施設の契約書ですが、こう書いてあります。
「私は、この施設において知り得た事柄については、第三者に漏らしたり話したりいたしません。上記のことを守れていないと判断された時は、この施設に戻り、再度、修行を行います。これについて異議を申しません」
このように脅迫を受けていると思いますが、それでも、このまま済ませて良いはずがありません。怖いとは思いますが、ぜひ声を上げていただきたいのです。皆さんには一度、何が正しくて何が悪いのか、それを考えていただきたいのです。

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