本記事は
・当事者活動が仕事につながる日に向けて(2018.03.09)
・コミュニティカフェを活用した中間就労のしくみについて(2018.01.18)
の続編となります。
同じような考え方を持っている当事者・ご家族・支援者・行政の方の参考になればと思い仕事に結びつくまでの過程を共有しています。
まずは、月に1回の割合ではたらく場を作りました。
月1回くらいならできるかもしれないと思う方もいるかもしれません。そこから月2回、月3回と増やしていければ良いと考えています。このような働き方を、みんなで作っていこうというのが記事の趣旨になります。
一般的にひきこもり支援というと就労(1日8時間 週5日勤務)に焦点がいきますが、負担が当事者に偏っているのでは?という疑問を以前から持っていました。(たとえ、就労したとしても生きづらさを抱えたままの人もいると思います。社会的構造の指摘の必要性)
もちろん当事者が働いていない場合は、家族が当事者の生活を支える事になります。長期的にこの状態が続けば、親の高齢化により一家ともに生活困窮に陥る可能性も確かに指摘されています。(8050問題)
行政から見るひきこもり問題は、当事者個々の課題ではなく、税収の問題や社会保障費の削減などが挙げられるでしょう。
誰かに、負担が集中するのではなく、当事者・家族・支援者・行政が同じ方向を見て協力できる仕組みが必要だと感じていました。
従来の就労支援ではなく、当事者も家族も、支援者や行政も一緒に取り組めるような協働支援が必要だと考えています。
就労支援から協働支援へ
以下のように考え実践してみました。
仕事を作ってみてはどうか?
ただし、お金はありません。(^_^;A
この条件の中で何ができるのか?
仕事は一般的に専門的な知識や技術が高いほど高収入です。
しかし、8050問題が叫ばれる中で、50代の当事者の支援プログラムに職業訓練を組み込む事は、なかなかリアリティアを感じられません。
できる事から始める事はとても大切ですが、一方で単純な仕事では、安くて不安定な職種になりがちという側面もあります。このような労働条件下の人間関係は良好とはいえないケースもあるでしょう。
少し考え方を変えてみました。
逆説的になりますが、「誰にでもできる仕事をつくる」ことは、社会的に価値があるのではないだろうか?
なぜなら、誰もが仕事を通して「社会とつながる仕組み」を作る事であり、結果的に社会的孤立を防ぐ事が可能になるからです。
(仕事を活動という言葉に置き換えても良いと思います。)
社会的孤立とは、いわゆる、ひきこもり当事者だけでなく、認知症の方や、障碍によって社会との接点を得るのが困難な方も含めた考え方です。
この場合、仕事の評価軸を生産性や効率ではなく、例えば人と向き合う事など評価の軸をきちんと設計しておく必要はあると思います。
仕事(活動)の社会的な価値を磨きながらネットワークを構築し、協働を進めていきました。また、段階的な中間的就労の仕組みにも着目し、福祉的就労と一般就労の格差を埋めていく事も重要だと考えています。
これまでの記録
居場所とはたらく場のあいだ
2016.8
東松山市(埼玉県)のコミュニティカフェ・まちかふぇを訪れ、代表理事と地域の居場所であるコミュニティカフェをベースにした居場所とはたらく場の両方の機能を持つ「場」を作れないかお話の機会を得ました。
同月、ひきこもりフューチャーセッション庵に自作ロボットを持ち込み参加。イベントの最後に運営者より発言の機会を頂きビジョンを伝える事ができました。
この時の全体のファシリテータは佐藤恵子さん(一般社団法人ドリームマップ支援協会理事、一般社団法人コンフィデンス理事)。
後にNHK福祉教材DVD「ひきこもりからの回復」の上映会、ミニ・ドリームマップ体験会等を共催、そして現在の当事者協働へとつながっています。
2016.10
ひきこもりフューチャーセッション庵でテーブルオーナーを務める。
テーマは、「みんなで〇〇できる仕組みをみんなで考えよう」。フューチャーセッション庵の取材で、テレビカメラが入る中で実施。内容的には多くの課題の残る結果でしたが、これも一つの経験という事で良しとしました。
開始前の待合室では、NPO法人楽の会リーラ(KHJ家族会連合会東京支部)の大橋さんに出会い、コミュニティカフェ活用の企画についても意見交換の機会を得ました。
のちの職業講話や、KHJ全国ひきこもり家族会連合会全国大会inTOKYO(明治大学会場)での講演につながりました。
2017.03
NPO法人チーム東松山主催 こどもの楽校 プログラミング体験講座を実施。(プログラミング講座に力を入れるきっかけになりました。)
小学生に授業(2時間)をするのは、初めての試みなので時間配分がうまくいくか?つまらなくないか?やさしすぎないか?難しすぎないか?などいろいろ考える中で授業内容を検討、結果的には子供たちが楽しそうだったので良しとしました。
2017.04
ひきこもりフューチャーセッション庵で2回目のテーブルオーナーを実施。
テーマ名は「居場所とはたらく場のあいだ」。
居場所に来れるようになっても、就労のハードルは以前と高いままではなかろうか?居場所とはたらく場を段階的に埋める仕組みはどんなものだろうか?を話し合いました。
テーブル参加者の中には、IT企業の社長もおり実践的な話も聞けたと思います。(後にウチらめっちゃ細かいんでという会社を立ち上げたようです。)
2017.05
NPO法人楽の会で職業講話「居場所とはたらく場のあいだ」
2017.06
東松山市のコミュニティカフェ・まちカフェで月2回の割合でフリースペース(こどもカフェ)の運営を開始。
パソコンやプログラミング体験ができるスペースを地域に作るという視点で取り組んでいます。(現在も継続中です。)
2017.07
NPO法人チーム東松山主催 こどもの楽校 ロボットプログラミング体験講座を実施。
2017.09
まちカフェの移転と共に一時期、活動場所がない状態でしたが、同時期に地元でコミュニティカフェがオープンしました。(一時的に活動を東松山から地元へ)
そして、地元イベント(クリエイターズマルシェ)で初のロボット展示を経験。
農協直売で見かける木製の台の上に展示してもらえました!(デモができない・・^^;)
2017.10
KHJ全国ひきこもり家族会連合会主催の全国大会(明治大学会場)で「居場所とはたらく場のあいだ」を講演。
当日は、台風が関東上陸という1日でした。(^^;A
2017.11
2回目の地元イベントに参加。開始時に活動などを紹介してもらう機会を得ました。
その後、政策課題研究員(埼玉県)の方に声をかけてもらい意見交換をしました。
隣接する市内の社会福祉法人の理事を紹介され、学童保育(発達支援)を含めた地域の活性化に関わる事になりました。
2017.12
ひきこもりフューチャーセッション庵で3度目のテーブルオーナーを実施。
テーマ名は「居場所とはたらく場のあいだ」、参加者40人を超えましたが、ファシリテーションの仕方に多くの課題を残しました。
2018.01
協働連絡会を設立。
2018.03
NHK福祉ビデオ教材「ひきこもりからの回復」上映会を実施。
2018.03
協働連絡会がヤフーニュースに取り上げられました。
2018.04
二つの施設で協働を進めていく事になりました。
学童保育施設でのプログラミング講師(年間12回予定)
就労移行施設でのプログラミング講師(年間12回予定)
2018.06
ダイヤモンドオンラインにコンフィデンスと協働連絡会による当事者協働の形が取り上げられる。
2018.09以降の予定
上記のまちカフェを運営するNPO法人が、東松山市の中心市街地活性化事業の採択を受け協働という形で新な展開が期待されます。
また、コミュニティ・ラボを立ち上げ、学習支援、就労支援など地域活性化を念頭にこの課題に取り組めていければと考えています。
偶然の出会いによって進路は変わる。
自分でこうしたい!と考えてもなかなかうまくいかない事は多いと思います。自分に関心を持ってくれる人がいたら、その人と一緒に取り組む事で少しずつ目標に近づけていけば良いのではないかと考えるようになりました。
時には停滞、後戻り・・。それも良しと考えられるようになると楽になると思います。
以前に描いたドリームマップが着実に現実化されようとしています。